
記念事業実行委員の皆さん
御礼の辞
白津山正法院住職 清水忠道
二百六十余年の歳月を経て、地蔵堂並びに延命地蔵菩薩(大仏様)の復元改築の大事業を為し得ることが出来ました。ご協力を賜りました檀信徒皆々様に幾重にも衷心より感謝御礼を申し上げます。
大仏様は、真新しい御堂に静かに安座し、微笑みを浮かべ、慈愛の眼差しで人々を迎え入れておいでです。
御本体の腐食、御堂の老朽にともない昭和十六年に再建計画がございましたが、国家非常時に遭遇し目的を為し得ずに今日に至りました。幸いにも今の総代様方のご理解のもと、難事業に着手することが出来ました。
集落総代様方がそれぞれに説明会を行うにつれ、同意と修復協賛の声が大きくなりました。これも地域役員様方の信頼と協賛があればこその賜物と敬意を表するところでございます。
また、この度の事業途上に山村留学生の父親本多均さん(埼玉市大宮住)にご縁が生じ、特段のご協力を賜ることになりました。そのご寄進が契機となり、光明が注ぐように大勢の協力希望をいただきました。本多さんは、自分は大仏様によって導かれてきたのかもしれないと仰り、心配している私に、「大仏様が必ず手を差し伸べてくれるから心配するな」と力付けられ、そんな祈りにも似た思いで計画されたこの大事業も今は完成して、毎日のように参詣者が訪れています。一身に祈る姿に接 するに付け、良かったなと思われてなりません。
市の文化財に指定されているお蔭で市から補助金を賜りました。
施行者の中田建設様には正法院の意を体し取り組んでいただきました。
佐藤友一様(環設計)の基、宮大工棟梁の伊藤実様の熟練の技により創られた御堂は、自慢出来るできばえとして完成しました。銅版拭の屋根は見事な弧を描きそびえております。
工事責任者として、基礎工事より細心の心配りをして完成に至るまでのご配慮を賜りました成田秀雄様、心より感謝申し上げます。
宗像商会・盛岡支店小室達朗氏のご縁で、大仏様に新たな生命が吹き込まれる要因になりました。
地蔵様を見事に修復完成に導いてくださいましたお方は、静岡県島田住、仏師杉浦瑞慶師。師弟には、「私にこの修復を委ねてほしい」と強い要望があり、心強く安心して託すことが出来ました。蔵之丞了慶当初の手法を用い、二年の歳月を経て脇仏共見事に修復完成され里帰りすることが出来ました。
二百六十余歳の時の流れを追憶し、大仏師・蔵之丞了慶の弟子と言われる当時の七世悟山忍州大和尚様に重ね思い偲び、また師匠徳禅正三大和尚、歴代住職様に報告させていただきました。
この先、大仏様の存在が地域活性化の一助になれるよう、役員と共に心を合わせ努める所存でおります。この事業等にご尽力、協賛下さいました皆々様に感謝御礼を述べ、貴家皆様の更なる家門繁栄をご祈念し、御礼のご挨拶とさせていただきます。
合掌